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日大アメフト部の事件は「氷山の一角」/ 学習院大学ヨット部に見る「大学スポーツの構造的な問題」

日本大学アメリカンフットボール部「フェニックス」の選手が関西学院大学アメリカンフットボール部「FIGHTERS」の選手を試合中に負傷させた事件に関して、加害選手の記者会見が開かれた。
会見では監督(当時)やコーチが選手を追い詰めるような発言をしていたことが述べられた。(NHK)

また、19日には日大アメフト部の監督を務めていた内田正人氏が記者会見を開き、辞任を表明している。(共同通信)

しかし、この日大アメフト部の事件は大学スポーツ界の「氷山の一角」に過ぎない。
「大学スポーツ」が持つ組織構造や風潮が変わらない限り、「第二、第三の内田氏」が出てくる可能性は十分にある。


大学の部活というのは、「大学公認」として活動して大学から部室や予算を得ているものの、実際の運営や活動は学生に一任で、顧問になっている教授も形式的な存在だ。
学生の上にいるのは、OB・OGや監督・コーチたち。つまり権限や責任の不明瞭な人たちが「大学公認の団体」を取り仕切っているのだ。

しかし実際に責任を負うのは大学。しかし「目が届いていなかった」とは言えないから、不祥事が起きても「揉み消し」に走ろうとする。いざとなれば単位や卒業を人質にして学生を脅すことだってできる。
したがって適切なガバナンスやコンプライアンスは存在しない。その実情が今回の事件で露呈したと言えよう。

ただし、その組織構造は「大学スポーツ」に普遍的なものである。したがって、同様の事件は日大アメフト部に限らず、日本全国の大学の多くの部活で起き得るものだ。

以上の話は、私が学習院大学ヨット部に在籍していたときの体験に基づく。

当時のK副将(後に主将、現在は三菱UFJ銀行に勤務)から「酒を飲まないと携帯を没収するぞ」と脅されたり、「法律は関係ない」と言われたりして飲酒を強要されることがあった。4年生(当時)のA主将(現在は住友生命に勤務)が2年生の先輩(現在は4年生)をLINEグループで罵倒しているのも日常茶飯事だった。「一発芸の強要」や「窃盗被害」も起きている。
※補足:大勢がCCに入っているメールや、大勢がメンバーのLINEグループで罵倒することも「パワーハラスメント(パワハラ)」に該当する。
副総理・財務金融担当大臣の麻生太郎氏を輩出している部活でありながら、その実態は「違法行為とハラスメント行為の温床」なのである。

そして、私が在籍していた間、部長として責任を負うはずの紙谷雅子 教授(学習院大学法学部法学科)の姿は一度も見たことがない。指導と監督を担う部長すらも、この「違法行為とハラスメント行為の温床」の現状を野放しにしているのだ。

スクリーンショット 2018-05-22 16.05.57.png学習院大学ヨット部Webサイトより引用

スクリーンショット 2018-05-22 16.06.25.png学習院大学法学部Webサイトより引用

実際に現場で指導や監督を担っていたのは学習院大学ヨット部Webサイトで「顧問」と記されている中島 淳氏(月刊「KAZI」編集長)と、「監督」として記載されている師田 洋佑氏(Daddy and Kids, Inc. CEO)だった。

スクリーンショット 2018-05-22 15.59.38.png学習院大学ヨット部Webサイトより引用

彼らの職業を見て分かるとおり、顧問も監督も学習院大学ないし学校法人学習院に所属する人物ではない。コーチに就いている人物も同様だ。
したがって、確かに学習院大学ヨット部のOBないしOGではあるものの、現時点で彼らは「学習院大学にとっては部外者」だ。しかし、その部外者のはずの顧問や監督やコーチが「大学公認の団体を取り仕切っている」のである。

果たして、不祥事が起きた際の法的責任や監督責任はどこにあるのだろうか。前述のハラスメント行為や違法行為についても、学習院大学はその責任を取ろうとする気配はない。
実際に、ハラスメント行為や違法行為の被害について学習院大学学生課に内容証明郵便で伝えたところ、学生課事務長は次のように述べた。

(一発芸の強要などのハラスメントについて)「学習院の運動部として問題ない

(飲酒強要などについて)「なかったものとする」。

要するに、学習院大学は違法行為とハラスメント行為を揉み消したのだ。

しかも、このヨット部の件とドイツクラブなどの不祥事を関係機関に通報したところ、学生センター所長の小島修一 教授(理学部生命科学科)から「学習院大学を貶めた」と言われ、「謝罪と反省」の旨の念書を書くように脅されたのである。

スクリーンショット 2018-05-22 16.38.33.png学習院大学理学部生命科学科Webサイトより引用

もちろん念書は書かなかったし、謝罪も反省も一切するつもりはない。

しかし、これが「大学スポーツ」を巡る現状なのだ。
「大学スポーツの組織構造」が変わらない限り、同様の問題は起き得る。何より、既に起きているのに揉み消されている可能性は十二分にある

例えば、学習院大学ヨット部で起きているような「部活での派遣アルバイト強制・給与の徴発」はヨット部のみならず、関係者の証言によると馬術部でも起きている模様だ。
なお、学習院大学馬術部と言えば天皇陛下も在籍されていた(桜友会Webサイト)ほか、直近まで欅坂46のキャプテン・菅井友香も所属していたとされる。

スクリーンショット 2018-05-22 16.47.49.png欅坂46Webサイトより引用

あるいは、学習院大学応援団でも「OBや先輩からの飲酒強要がある」との証言がある。ちなみに学習院大学応援団には故・寛仁親王殿下も在籍していたとされる。

皇族や著名人を輩出している部活ですらその体たらくだし、大学もメスを入れる気配がない。おそらく同様の問題は学習院大学の他の部活やサークル、ないし他の大学でも起きていることだろう。


結局のところ、指導責任や法的責任が不明瞭で「監督やコーチ、先輩が暴走しうる」環境であれば、大学スポーツで今回と同様の事件が起きる可能性は十二分にある。
そして、不祥事が発覚した際に「隠蔽」の方向に走るインセンティブが大学にある限り、不祥事が起きたとしても大学が「揉み消し」や「火消し」に走ることに何ら不思議はない。

事件の再発を防止するためには「大学スポーツ」が抱えている構造的な問題を解消する必要があることは明らかだろう。来春には「日本版NCAA」が創設される(産経ニュース)ようだが、現状にメスを入れられるのだろうか。

スクリーンショット 2018-05-22 16.05.57.pngスクリーンショット 2018-05-22 15.59.38.pngスクリーンショット 2018-05-22 15.59.50.pngスクリーンショット 2018-05-22 15.59.58.pngスクリーンショット 2018-05-22 16.00.11.pngいずれも学習院大学ヨット部Webサイトより引用。
不祥事が起きた際の責任はどこにあるのだろうか。

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